時代の変化により、使われなくなった『外風呂』と『きっつ(板倉)』。どちらの建物も経年による歪みや傷みはあるものの、躯体は比較的しっかりしていたので、建物が経てきた歴史は残しつつ、使い勝手や居心地は現代の生活にあった利用価値のある建物に造り変えました。
長い間使用されていなかった外風呂をトイレにリフォーム | ||
リフォーム前 | ||
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外風呂として使用していた頃、薪で風呂をたいていいたため壁が煤で黒ずんでいたり、壁の一部が剥げ落ちている部分もありましたが、鳥海石を積んだ石垣や躯体、瓦屋根などは確りとした建物でした。施主様のご希望もあり外観はできるだけ現状を変えず、建具など再利用できるものは出来るだけ活かしたリフォームを心がけました。 |
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リフォーム後 | ||
![]() 北東側 |
![]() 南西側 |
![]() 北西側 |
入口にサッシの引き戸を取り付け、傷んだ壁は補修と塗装できれいになりました。東側の窓は撤去し、壁にしました。 西側にあった出窓も撤去し、角材とカラフルなガラスブロックで明かりとり用の窓を新設しました。 |
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![]() 男子トイレ |
![]() 女子トイレ |
![]() 女子トイレ 手洗い |
![]() 西側 明り取りガラスブロック |
![]() 古い木製建具を削り直して利用 |
![]() 型ガラスも元々あった古い物を利用 |
![]() 男子トイレ照明 |
![]() 女子トイレ照明 |
![]() 建物外の照明 |
内装は腰下壁と床は、タイル仕上げ、腰上壁と天井は杉板張りで仕上げました。建具類は、古い建具を削り直して使用しています。西側の明かりとり窓は、角材の間にカラフルなガラスブロックを嵌め込んでいます。男子トイレ、女子トイレともに、便器と手洗いはTOTO、タイルはダントー、レトロな雰囲気の照明器具はオーデリックを使用しています。 |
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大正九年に建てられた古い建物を休憩所にリフォーム | ||
リフォーム前 | ||
![]() 北側 |
![]() 東側 |
![]() 西側 |
![]() 南側 |
![]() 施工中/建物の歪みを直す |
![]() 施工中/筋違いなどで補強 |
大正9年に建てられた古い建物のリフォーム。もともとはお米を保管する倉庫として大切な役割を担っていた建物も、時の流れとともに古タイヤ等、とりあえず今は必要のないものを仕舞い込んでおく大きな物置と化していました。西側から撮影した写真をご覧頂くとわかると思いますが、建物が南側に傾き始めており、傾きを直し、尚且つ、今後頻繁に利用できるように農作業の合間などにお茶を飲む外の休憩室としてリフォームしたいとのご依頼でした。 建物を解体してみると、屋根裏にぎっしりと古い瓦が仕舞ってありました。瓦の重みで建物が南側に傾いていたと考えられます。建物をベルトで引っ張り建物の歪みを整えながら、リフォーム工事が始まりました。建物内部から、筋違い等を入れて、建物の構造を補強していきます。 |
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リフォーム後 | ||
![]() 北側 |
![]() 東側 |
![]() 西側 |
![]() 南側 |
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![]() 色も形も様々なタイル貼りのたたき |
南側にストーブなどを置くためのスペースとして、腰高ぐらいの高さに少し建物を出しています。新しく出した部分が浮かないように、板の表面を軽く焦がして仕上げています。北側の出入り口は既存の引き戸に明かりとりの窓を設け、東側に出入り口できる引き戸、西側と南側に窓を新設しました。新設した開口部の建具は、施主様より支給での古い建具を利用しています。北側出入り口のたたきは、施主様のご希望により、色も形も様々なタイルを貼りました。使用したタイルは現場等で半端に余った物やサンプルなど(一部施主様支給)を利用。タイルの配置にタイル職人はかなり苦労したようですが、レトロな趣があり面白い仕上がりになりました。 |
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![]() 北側出入り口 |
![]() 東側出入り口 |
![]() 天井は構造を表しまま |
![]() 建物の歴史を物語る文字は額風に加工 |
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内装壁は、建物の強度を上げるために壁前面に張った構造用合板をそのまま仕上げ材にしいます。天井は当時のままで構造材を表しのままに仕上げています。床は杉の荒板仕上げですが、今はその上に施主様がタイルカーペットを敷き詰めて使用しています。北側出入り口と南側天井の明りとり窓は、施主様支給品のカラーガラスを使用しています。窓や出入り口を増やしたことにより、風がよく通って明るい居心地の良い休憩場所ができました。引き戸裏に書かれていた『大正九年五月九日』の文字は、この建物の歴史を物語るシンボルとして額風に加工し飾りました。 |
今まで、必要とされていなかった建物が、手を加えることにより新しい役割を十分に果たす建物に生まれ変わりました。『古い建物の再利用』と一口にいっても、経年による建物歪み、細部の納まり具合や古い木製建具を削り直しての再利用など、新築工事にはない難しさも多く、経験豊富な大工職人の技術がなければできません。栗駒建業には、古い建物を再び活かすことのできる木造の構造を熟知した腕の良い大工職人がいます。ご相談ください。